3Dプリンターとは?初心者でもわかるように解説

紙に印刷するプリンターのように、3Dデータをそのまま出力できる3Dプリンター。すでに3Dプリンターは、さまざまなビジネスの世界で本格的に使われています。しかし、3Dプリンターについて、存在は知っているけれども、実際、どんな仕組みでプリントできるのかよく知らないという方も多いようです。この記事では、3Dプリンターについて解説しています。あなたのビジネスにも3Dプリンターを役立てられるかもしれませんよ。

3Dプリンターとは?

3Dプリンターは、まさしくプリンターです。しかし、私たちにとってなじみのあるインクジェットプリンターやレーザープリンターとは異なり、紙にテキストや画像をプリントするためのプリンターではありません。3Dプリンターは、平面データではなく立体データ(3Dデータ)を出力するためのプリンターです。

しかし、立体をプリントアウトするなんて、そんなことができるのか半信半疑の方もいらっしゃるかもしれません。

インクジェットプリンターでは「インク」を使いますが、3Dプリンターでは「フィラメント」という造形材を使います。この造形材を、加熱しながら積み重ねていき、3Dの造形物を出力するのが3Dプリンターだというわけです。ソフトクリームをサーブするときのことを想像してみるとわかりやすいと思います。

3Dプリンターのプリント方式

すべての3Dプリンターが同じ仕組みで造形物をプリントアウトしているわけではありません。現在、

・熱溶解積層方式

・光造形方式

・粉末焼結方式

・粉末固着方式

・インクジェット方式

という大まかに5つのプリント方式があります。それぞれかんたんにご紹介します。

熱溶解積層方式

熱溶解積層方式は、現在、3Dプリンターの主流といってもよいプリント方式です。この熱溶解積層方式の3Dプリンターでは熱可塑性樹脂(ねつかそせいじゅし)という、冷えると固まる性質を持つ樹脂を使って造形物をプリントアウトします。

プリントアウトできる造形物の大きさが幅広く、しかもほかの方式と比較して材料費が安いというメリットがあります。

初めての3Dプリンターとして最もおすすめなのは、この熱溶解積層方式の3Dプリンターだといって間違いないでしょう。

光造形方式

紫外線で固まる性質を持つ液体状の樹脂を使って造形物をプリントアウトする方式を光造形方式と呼びます。細かい表現が可能で、特にアクセサリーなどの小さな造形物をプリントすることが得意です。ただ、上から順番に造形物を固めていくため、大きな造形物のプリントアウトには向いていません。

粉末焼結方式

粉状の樹脂を材料にして造形物をプリントアウトするのが、この粉末焼結方式の3Dプリンターです。粉末樹脂に熱レーザーを照射することで造形物を固めます。サポート材が必要ないことが大きな魅力ですが、粉末を使うので粉塵が発生するため、これを防ぐための仕組みも用意しないといけないことは短所だといえます。そのため、企業が導入することがほとんどで、個人利用には向いていません。

粉末固着方式

粉末固着方式の3Dプリンターは、粉状の材料に接着剤を噴射して造形物を固めていくプリンと方式です。粉末焼結方式同様、粉状の材料を扱うため、これを防ぐための設備を用意しなければなりません。大きな造形物をプリントアウトできることは魅力ですが、大きさを考えても値段を考えても、個人が粉末固着方式の3Dプリンターを導入することは現実的ではありません。

インクジェット方式

普通のプリンター同様、3Dプリンターにもインクジェット方式のプリンターがあります。インクジェットの部分から液体状の樹脂を吹き付け、赤外線で固めていきます。この硬化させる段階で紫外線を使うことは光造形方式と変わらないのですが、だんだん固めていく光造形方式に対し、インクジェット方式の場合はランプを使ってまとめて固めるため、スピーディーにプリントアウトが進行します。精密な表現が求められる造形物のプリントに向く方式です。

3Dプリンターで造形物をプリントアウトするまでの手順

3Dプリンターで造形物をプリントアウトするまでの手順をご紹介します。造形方式により手順は異なりますので、あくまで大まかな流れと考えてください。

手順その13Dデータを用意

造形物をプリントアウトするには、紙にテキストや画像をプリントアウトするときと同じくデータが必要です。3Dデータを用意する方法はいくつかあるのですが、家庭で初めて3Dプリンターを使う場合は、データ配布サイトからデータをダウンロードするといいでしょう。3Dプリントでは、主にSTLファイルを使用します。海外のウェブサイトが中心ですが、このSTLファイルを、有料、もしくは無料で配布しているサイトがあるので、Googleで検索してみるといいでしょう。

・主なSTLファイル配布サイト

Thingiverse: https://www.thingiverse.com/

YouMagine: https://www.youmagine.com/

もちろん、3Dデータは、ほかの方法でも用意できます。

3Dデータをスキャンできるスキャナーを使えば、さまざまな3Dデータを作れますが、やはりこの3Dスキャナーも非常に高価なので、個人が手に入れることは現実的ではありません。

モデリングソフトという3Dデータを作成できるソフトウェアを使う方法もあります。シンプルな機能しか持たない無料のソフトウェアもあるので、初めての方はこのようなソフトから始めてみてもいいでしょう。

手順その2:プリントアウト

3Dデータの用意ができたら、今度はそのデータから実際に造形物をプリントアウトします。プリントアウトの手順は、プリンターにより異なるため、基本的にはプリンターの説明書どおりに行う必要がありますが、パソコンに3Dデータを読み込み、出力するという流れは通常のプリントと特に変わりません。3Dプリントの場合、このプリントアウトの段階のことを「造形」といいます。

プリントアウトの際に重要なのは、3Dプリンターの置き場所です。まず、水平の確保。水平な場所に3Dプリンターが置かれていないとデータどおりに造形物が完成しません。また、造形物がプリントされるどだい部分とフィラメントが出てくるノズルの距離も適切にセッティングすることが重要です。

手順その3:サポート材を取り除く

家庭用の3Dプリンターは、多くの場合、サポート材と呼ばれるプリント中に造形物が安定するよう支えているパーツを使用します。(サポート材を使わないで作れる造形物もあります。)

要するに、3Dプリンターでプリントアウトされる造形物は、固まるまでの間はとても不安定な状態になるため、デザインや形状によってはサポート材を使わないと、意図したとおりの造形物が作れないのです。

サポート材は、造形物がしっかり固まったあと、ペンチなどを使用して取り除きます。

プリントアウトされた造形物は、まだまだ荒削りな状態です。そのため、表面を磨いたり塗装したりといった作業も必要になります。材料により、磨きや塗装で出る雰囲気が異なるので、完成状態をしっかりイメージして材料を選ぶことも非常に重要です。

まとめ

3Dプリンターの基礎的な知識についてまとめました。3Dプリンターは、その昔は「夢のような話」と考えられていましたが、現在では、家庭用の製品も発表されるなど、私たちの手の届くものになりました。趣味のアクセサリーデザインから産業用まで幅広く使われている3Dプリンター。アイデア次第で活用方法は無限です。あなたも3Dプリンターを手に入れてみませんか?