(こちらは note ブログに掲載した記事を再掲載したものになります)
国内外、ドローンを自作するという趣味に取り組まれている方がそれなりにおられるようで、その奥深さにかなり興味を持ち始めている今日この頃です。その発展の仕方が非常に面白いと思っていて、今後のモノづくりホビーの方向性を示しているような気さえしています。
趣味としてのドローンに関する印象は、うるさいし、飛ばすところも限られてるし、操縦難しそうだし、というような感じで、あまり気軽に取り組めるものではないというようなものでした。その印象は今もあるにはあるのですが、それらの課題を乗り越えてでも私自身、チャレンジしてみたいと思ったのは次の YouTube ビデオを見たのがきっかけです。英語で専門用語が多すぎて最初は半分も理解できませんでしたが、動画の中でつらつらと増えていく線を何度か見ていくと、その内容が少しずつのみこめてきます。この動画は興味があれば観ていただくこととして、ここからはこのビデオで語られていることや、その後調べて分かったことなどをまとめてみようと思います。
自作ドローンの世界
ドローンの安定した飛行はコンピュータがモーターを精緻に制御することにより実現されています。飛行のアルゴリズムはある程度完成されたものがすでに公開されており、また自作をするためのハードウェア要件もかなり整理されてきています。
まず、ドローンを飛行させるための頭脳にあたるモジュール、これを「フライトコントローラー」といい、自作ドローンでは「4in1」 というタイプと 「AOI (All in one)」 というタイプが主流です。
フライトコントローラーの中にはコンピューター(CPU) が搭載されており、飛行を安定させるためのセンサーとしてジャイロセンサー、加速度センサーも搭載されています。多様なドローンの形状、性能に柔軟に対応できるよう制御プログラムはチューニングと書き換えが可能になっており、ビデオの中で紹介されているフライトコントローラーには BetaFlight というファームウェアが組み込まれています。BetaFlight はオープンソースで中身が公開されており(https://github.com/betaflight/betaflight)、また、またチューニングのためのコンフィグレーターも公開されています(https://github.com/betaflight/betaflight-configurator)。BetaFlight の前身には CleanFlight という、こちらもオープンソースのプロジェクトがあり、BetaFlight で先進的な様々な試みが行われ、その成果が CleanFlight に反映されていくという位置づけです。CleanFlightの最後のリリース版が 2019年、対して BetaFlight の最新のリリースは 2021年 11月に行われており、自作ドローン向けファームウェアーは、より頻繁に開発が行われ、最新の機能にも触れることができる BetaFlight が主流となっています。
(写真)BetaFlight ファームウェアを搭載したドローンのコンフィグレーションをするツール BetaFlight Configurator のスクリーンショット
フライトコントローラーからの指令を受けて、実際にモーターを駆動するのは「ESC」という別のモジュールです。ドローンの大きさや達成したい性能によってドローンに取り付けるモーターの要件も異なり、それに伴ってモーターを駆動するモジュールの要件も変わってくるため、駆動モジュールを別にすることで、これに応えるための柔軟性がもたらされています。なお、AOI(All-in-One) タイプのフライトコントローラーについては YouTube ビデオの中の例では、フライトコントローラーから 4つの個別の ESC につなげ、この ESC から4つの個別のモーターに接続する例が示されていますが、AOIの中には ESC を含んでいるものもあり、フライトコントローラーから直接モーターに配線することができるものもあります。 AOI はよりコンパクトに、より簡単にドローンを構成できる一方、拡張性、自由度については4in1 の方が優れているというのがお互いの位置づけです。
4 in 1 タイプのAIKON F7 フライトコントローラー(左)、PRO 20x20 ESC(右)
自作ドローンとして作られるドローンの主流は FPV と呼ばれるカメラを本体に搭載し、ドローン目線で操縦することができるタイプのドローンです。この用途に適したカメラ、そして送信機のモジュールも色々な選択が可能になっています。カメラモジュールからの映像はいったんフライトコントローラーに入り、そこでフライトコントローラーの持つ情報がカメラ画像に合成され、この合成画像が送信ユニットが発する電波を通じてドローンを操作する人に届けられます。映像を送る電波はドローンを操作する電波とは別系統です。現在はアナログ信号による映像送信が主流となっていますが、よりクリアな映像を届けることができるデジタルタイプの送信ユニットも徐々に増えてきています。(なお、既存の多くの映像送信ユニットは発生する電波が国内では無線免許を持っていなければ扱うことができないのは少し面倒なところではあります)
ESC(左下)、フライトコントローラー(左中)、映像送信ユニット(左上)、カメラ(右上)
一番ややこしいのはドローンを操作する人の操作信号を受け取るレシーバーユニットで、いろいろな方式が存在しており、自作をするうえで、最も混乱するところです。フライトコントローラーとの接続はシリアル通信で行われますが、そのプロトコルが何種類かあり、プロトコルによってフライトコントローラーとの接続方法も変わってきます。そのあたりのカオスはまた今度の機会にちゃんとまとめてみたいと思っています。
組み上げた自作ドローンは BetaFlight コンフィグレーターでコンフィグレーションをします。コンフィグレーション仕方は次の YouTube に紹介されていました。安全装置としてのモーター On/Off スイッチの設定や、電波が届かなくなったときに飛行を強制停止させるための設定など、初心者が進めるうえで最初におさえておかなければならないポイントも多くカバーされています。
国内でも自作ドローンをやられている方はおられ、日本語の情報もそれなりに出てきます。私もこれから自身の体験を通じて情報を出していきたいと思っています。国内のクラブやコミュニティー等にも参加して詳しい人からもいろいろな教えを請いたいとも思っています。
自作ドローンに関する私の予定
自作ドローンについて、ある程度決まっている今後の予定として、まずもともと別のパーツを取り扱う予定で交渉を進めていた中国は T-Motor というメーカーのドローン関連部品を輸入販売する予定で初回の入荷の手続きを進めています。初回は入庫数を絞ったため、利益はほぼないに等しいのですが、まずこの世界に飛び込んでみたいし、何か自身でできることをやってみたいと思い、開始することにしました。プロポや映像送信ユニットなど電波を出すモジュールについては、国内には技適などの規制もあり、輸入したものをそのまま販売すると知らぬ間に国内ルールを犯してしまうことにもなりかねないため、まずは国内で規制周りもちゃんと配慮した取り扱いをされている「株式会社 AIR STAGE」と契約をし、取り扱い製品の2次代理店となることにしました。
飛ばす場所も限られているので、ドローン練習場なんかも運営できないかなぁとも思っていますがあまり最初から手を広げすぎるのも良くないでしょう。少しずつまず私自身が実際に経験をして、できそうなことを模索していきたいと思っています。
自作ドローンの世界、小さなメーカーや個人がそれぞれ情報を出し合い、急速に進化が進んでいるこの世界にこれからのモノづくりホビーの可能性を感じます。私自身もこれからも研究を続けていきたいと思っています!
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